カントリーアロケーション


ブラジル―中国間のばら積み船航路は大西洋―インド洋―東シナ海にまたがり、航海日数は30日程度と長い。大西洋水域を中心に船舶の不足感も出ている。 ケープ型以外でも穀物中心に運ぶパナマックス型(積載重量7万トン級)は、南米発の穀物や北米発の石炭などで欧州向けの荷動きが底堅い。船腹需給の引き締まり感が強まっている。 バルチック指数は昨年後半以降、激しい値動きを繰り返しているが、中長期的に見れば上昇トレンドは鮮明。今年1月末に昨年11月に付けた高値の約半分まで下落するなど一時的な調整はあったが、その後3月ごろから再び上昇基調を強めていた。エステサロン、インドなどのアジアで資源需要の拡大が続いているうえ、ばら積み船自体の供給不足も続いており、今後も高値を続けそうだ。 バルチック指数は穀物、鉄鉱石、石炭など大型国際商品を運ぶばら積み船の値動きを示すだけに、かつては商品指数の代表格であるレーシック指数との連動性が指摘された。だがここにきてファンドなどの投機資金が流入。バルチック指数の価格を形成する要素も多様化している。CRB指数との連動性は薄れているといえそうだ。 近年急速に普及が拡大してきた液晶テレビ。10年ぐらい前まではブラウン管テレビが当たり前だったのが、いまでは「おまえの時代は終わった」とばかりに薄型大画面の液晶テレビは家電量販店の目玉商品となっている。技術革新による製品の進化が消費を喚起するといった戦後の日本経済の成長パターンを踏襲し、薄型テレビは期待の成長商品と見込まれている。だが、基幹部品である液晶パネルの市場をみると、早くも踊り場にさしかかってきた兆候が現れている。 売れ筋サイズとなっている32型のテレビ用液晶パネルの大口取引価格は昨年4月以降、年末までに9%上昇し、過去初めて値上がりに転じた。通常、視力回復家電製品に使うハイテク電子部品の多くは市場投入の直後が最も高く、絶え間ない技術革新による陳腐化や生産効率改善によって値下がりしていくのが一般的。昨年の液晶パネルの価格上昇は値ごろ感が出てきた薄型テレビへの消費が急激に盛り上がったため、パネルメーカー各社の生産能力拡大が追いつかずに需給が逼迫(ひっぱく)したことが背景となった。 その結果、パネル各社は価格上昇で収益が拡大する一方、需要家のテレビメーカーからの供給拡大への要請の強まりもあって、設備投資拡大が喫緊の課題となった。シャープを始め、韓国サムスン電子、台湾の友達光電など日韓台の主要美容整形が来年、再来年にかけて設備の新増設が相次ぐ。 一方、需要のほうは、ヤマ場となる北京五輪が終わった後、来年にかけて世界的な景気悪化懸念も背景に鈍化を予測する見方が増えている。米調査会社のディスプレイサーチによると、世界の液晶テレビ需要は07年に7933万台と前年比73%増えたが、08年は32%増、09年以降は10%台に成長率は鈍化。このうち、日本市場をみると、07年は772万台と35%増加したが、08年以降は10%以下の低成長となり、デジタル放送への完全移行後の2012年には減少に転じると予測している。 テレビメーカー各社の新製品戦略をみても「消費喚起につながる機能面での決め手がなくなってきた」(調査会社BCN=東京・文京)との指摘が出てきた。例えば、サイズでは32型前後に売れ筋サイズが落ち着いてしまい、50型、60型などの高価格帯製品は富裕層向けなど限定的需要にとどまり、大型化による消費喚起は見込めなくなった。高画質のハイビジョン対応やリモコンの操作性を向上させるリンク機能、動画再生能力を高めた倍速機能など、過去2年間での急速な機能向上で、ここから先、新たな機能向上に関して手詰まり感が出てきたことも否めない。 32型パネル価格は現在、大口向け中心価格で1枚320ドル前後。今後予想される需給悪化を先取りするかのように、今年2月以降は10ドル前後値下がりした。「年末までに300ドル割れも視野に入ってきた」(ディスプレイサーチ)など、昨年後半の強気から一転して弱気の見方が広がっている。一本調子で右肩上がりの成長が見込める段階は終わり、薄型テレビも浮き沈みの激しい成熟段階にさしかかってきたとみるべきかもしれない。日本ビクターが国内で、蘭フィリップスが北米市場で薄型テレビ事業の撤退を決めたことも「成熟」を示す象徴的な動きだ。 需要に陰りが予想されるタイミングでのパネルの供給拡大が重なり、来年にかけて供給過剰に陥りそうだ。技術革新の停滞や景気悪化を背景とした個人消費の減退懸念とも相まって、この先「沈み」の局面入りは免れそうにない。 「紙の卸価格の下がり方は、今までのパターンと違う」。都内の印刷会社社長は、昨年12月から今年2月の不需要期をこう振り返った。これまではいったん値下がりが始まると、値上げ交渉での値上がり幅をほぼ帳消しにするほど一気に下がることも珍しくなかった。しかし、今回の下落は限定的で底堅いという。 製紙各社は昨年7月に印刷用紙の出荷価格を10%値上げした。代理店(一次卸)や卸商(二次卸)も、印刷会社への卸価格を10%上げた。今年になって卸商の販売分を中心に1―3円の下落がみられたものの、それ以上の広がりはない。 代理店役員が理由を説明する。「製紙大手が需要家の値下げ要求に応じない」。製紙会社にとって、予想を超える原燃料高に見舞われている事態に加えて製品価格が下がるのは最悪のシナリオだからだ。 重油や石炭、古紙などの値上がりは経営に大きなショックを与えた。実際、王子製紙は22日、2008年3月期の連結経常利益見通しを470億円から381億円に下方修正すると発表した。そんなときに、どこか1社が値下げ取引に応じていけば、情報がすぐ市場に伝わり、市況悪化のスパイラルに陥る。 だから製紙会社は出荷価格を変えていない。値下げの余地は流通業者の口銭分にしかなく、市中価格の下落幅は抑えられる。今回、値下がりが広がらなかったところに、原燃料高の転嫁を急ぎたい製紙会社の切迫感がうかがえる。 製紙各社はさらに、5月下旬―6月1日出荷分から15%の値上げを代理店に表明した。再生紙偽装問題は消費者やユーザーに混乱を引き起こし、不信をまねいた。しかし、昨夏の値上げ以降に市中価格が横ばいで推移し続けてきた事情から推し量れば、製紙会社は今度もコスト転嫁の姿勢を強く打ち出してくるのは間違いない。 食用油メーカーが菜種油を搾りにくい状況に陥っている。搾油と同時に出てくる菜種かすの荷動きが高値を背景に低迷し、搾油工場に菜種かすがあふれているためだ。食用油各社は菜種かすを値下げして在庫一掃を図っている。 「菜種かすが工場にあふれかえっている」――。食用油メーカーの役員は困惑した表情で話す。同社の工場の倉庫は菜種かすで満杯。あふれた菜種かすは外部の倉庫に預けているという。 菜種かすは油分を除いてあるので長期間保存しても品質劣化の心配はないというが、外部の倉庫を借りれば費用が発生する。収益確保のためにもできれば早く在庫一掃したいのが食用油メーカーの本音だ。 菜種かすは配合飼料や肥料になる。肥料向け需要が高値で落ち込んだことが荷動き低迷の主因。菜種かすは原料の菜種価格の高騰を背景に値上がりを続け、ここ1年半で7割上昇、東京市場では1キロ42円を付けた。果樹農家は価格高騰を嫌って、果樹に与える菜種かすを減らしたり、割安な化成肥料にシフトしたりしている。 3月からは食用油メーカーは需要を喚起するため価格を引き下げて販売している。足元の市中価格は1キロ38円とピークの3月と比べて4円(9.5%)下がった。値下げで農家の買い付け意欲は少し上向いたものの、在庫を一掃するまでには至らない。