カントリーリスク


食用油CFDのなかには、菜種油の生産を抑制し、同じ主力食用油の大豆油に生産の力点を移している。「大豆油が健康増進につながるというイメージを強調していく」(食用油メーカー)という。食用油は一般に菜種油と大豆油を混ぜて使うが、大豆油の分量を増やす食用油メーカーも出ている。 とはいえ、商品の品ぞろえを維持するには菜種の生産は不可欠で、菜種油を生産すれば菜種かすは発生する。在庫一掃の願いは遠のく。ある食用油メーカーの役員は「さらに菜種かすを値下げするしか解決策はない」と話す。菜種かすの価格基調は一段と弱まりそうだ。 東京都心から自動車で約1時間の好立地、しかもゴルフ場設計の鬼才、ピート・ダイ設計の名コースが231万円――。オリックス・ゴルフ・マネジメント(東京・港)が2007年11月に会員権を募集した「きみさらずゴルフリンクス(GL)」の価格設定は、業界に衝撃を与えた。 競技志向の名コースにもかかわらず値ごろ感のある価格は、消費者金融の人気を集めた。昨年実施した350人分の初回募集は、2カ月という短期間で終了。キャンセル待ちも発生している。 ゴルフ会員権相場は、バブル期に投機の対象となり高騰した。関東ゴルフ会員権取引業協同組合のまとめでは、関東の主要150コースの平均で、1989年のM&A時には4100万円を超えた。ところが、バブル崩壊とともに値崩れし、2002年には270万円程度と15分の1まで下がった。 会員権相場暴落の一因となったのが当時、多くのゴルフ場が採っていた預託金制度。入会時に支払った金額の一定割合を入会から10―15年程度たって退会する場合には返還するという契約だった。しかし、多くのゴルフ場経営会社は、預託金をゴルフ場開発の再投資に振り向けた。住宅ローン崩壊で、高額で会員募集したゴルフ場では預託金を返還できない例が相次ぎ、多くのゴルフ場で破綻につながった。 実は、きみさらずGLは、預託金なし入会金のみでの募集だった。破綻したゴルフ場を買収してきみさらずGLの運営会社となったオリックス・ゴルフ・マネジメントの枩埜(まつの)義敬社長は「預託金は諸悪の根源。買収前の旧会員がいない場合の新規募集は、預託金なしが望ましい」と語る。 関東主要150コースの平均価格は現在、400万円台前半まで回復している。全国ゴルフ場の年間入場者数は2000年以降、9000万人程度で推移している。バブル崩壊で法人需要が減少したため、ピーク時の92年に比べると10%以上減った。ただ、女子プロやジュニアの人気選手の出現で女性や家族層、高齢者へと「ゴルフ人口のすそ野は広がっている」(枩埜社長)という。 一時は投機の対象だった会員権だが、最近は、ゴルフをスポーツとして楽しむために購入する個人が相場を下支えしている。 ゴルフ場の破綻も減っている。帝国データバンクによると、07年ゴルフ場経営業者の破綻は49件で前年より5件少ない。負債総額は6889億円で、前年より8.4%増えたものの、ピーク時だった02年の2兆1897億円に比べると7割も減った。 破綻ゴルフ場がもたらした巨額の負債は、金融機関の破綻にもつながった。公的資金の注入を受けたある大手銀行の元頭取は「銀行のバランスシートは、世の中の欲望の裏返し」と語る。かつて、人々の欲望を引き付けたゴルフ場。個人に巨額な損失をもたらしたうえ、銀行への国税投入も招いた。高い授業料を払った後、ようやく、マネーの世界からスポーツの世界へと戻ってきたようだ。 代表的な半導体メモリーであるDRAMの市場価格に変化の兆しがみえている。DRAM部門の赤字に苦しむメーカー各社の販売競争がほぼ収束。アジアを中心とする複数のメーカーは4月以降の値上げを表明した。値上げの対象となるのは大口取引だが、これを受けて大口価格の先行指標となるスポット価格は小反発した。「反発は一時的なもの」(半導体商社)との見方もあるが、メーカーの販売姿勢の変化に市場関係者は注目している。 パソコン用DRAMの大口向けは、DRAM複数個を基板に載せたモジュール(複合部品)で取引することが多い。主力品種の容量512メガ(メガは100万)ビット品を8個載せたモジュール価格は現在、1個10ドル前後。2月前半に上昇してから3月後半分まで3期連続で横ばいが続いている。基板の材料費などを除いたDRAM単品の価格は1個当たり0.9ドル程度になる。 DRAM単品で見た場合、平均的なメーカーの採算ラインは3ドル程度と言われており、完全な赤字だ。昨年はマイクロソフトの新基本ソフト「ウィンドウズ・ビスタ」の需要を見込んで各社が増産に走ったが思惑ほど需要が伸びず、供給過剰に陥った。完全な買い手市場となった結果、大口価格は2007年の1年間で85%の大幅下落となった。 赤字に苦しむ半導体各社にしてみれば「体力勝負」も限界に近づきつつある。年明け以降はシェア確保のための安値販売もすっかり影を潜め、メーカーは「価格維持」にやっとだった。複数のメーカーが大口向けで値上げの意向を表明した背景には、供給抑制の効果で需給が引き締まるとの読みがあるようだ。 一方で需要家側からは「減産は進んでいるようだが、DRAMが足りないわけではない」(パソコンメーカー)との声が多く、需給にタイト感が浮上するにはまだ時間がかかりそう。ただ市況の潮目が変わりつつあるのは間違いないようだ。 東大西洋と地中海のマグロ資源を管理する大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)の臨時会合が、3月26―27日に東京で開催された。参加した13カ国の政府代表や生産者、流通関係者は、漁獲規制の強化に向けた共同声明を採択し、11月の本会合に向けて一定の道筋をつけた。市場では今後、価格上昇は避けられないとの見方が支配的だ。しかし、消費の落ち込みなどを背景に、右肩上がりの値上がりについては懐疑的な声も多いのが実態だ。 ICCATは2006年、2010年までに漁獲枠を段階的に2割削減することを決定した。その後、日本商社の現地買い付け価格は2―3割高くなった。国内の小売店の店頭でも、それまで見られた100グラム980円といった特売はほとんど姿を消した。しかし、値上げに消費は追いついていない。景気は一段と不透明感を強めており、「安いものから売れている状態。クロマグロも例外ではない。販売量は1―2割落ちている」(鮮魚専門店)といった声が多い。築地市場でも「荷動きは停滞しており、高値唱えは通らない」(卸会社)。 地中海クロマグロの約7割前後は日本向けだ。世界的な魚食ブームを受けて、欧米や中国などで需要が増えているのは確か。しかし消費量の大半を日本が占めている状況は、5年、10年の期間では変わらない。「日本の消費が現状のまま落ち込めば、価格上昇にはおのずと限界がある」(卸)と見られる。 商品そのものに対するマイナスイメージが高まることも相場には弱材料だ。世界自然保護基金(WWF)などは、ICCATの規制が機能していないとして、欧州を中心にクロマグロの不買運動を活発化させている。この矛先が、クロマグロ最大の買い付け先である日本の商社や小売店に向けられる可能性は十分ある。このまま蓄養のために天然マグロを乱獲し続ければ、「畜養マグロ=資源悪化の張本人」という図式が定着しかねない。消費者が買いを手控え、価格が急落する可能性もゼロではない。