買い気配


茨城県では過去の鳥インフルエンザによる大量処分を補うための増産が進み、千葉県でも大手生産者が生産増を目指す。IPOでの増産が卸値低迷の原因となっており、西日本の生産者からは「とばっちりを受けて、いい迷惑だ」と憤る声が届く。 対照的なのが米国だ。鶏卵生産者による生産調整が奏功し、卸値が高値を付けている。米国での鶏卵卸値は2005年が1ダース56セント、06年が64セントだったが、07年(11月まで)は1ドルまで上昇している。日本の大手生産者は「米国では生産者が空前のを稼ぎ出している」とうらやむ。 1月下旬、複数の国内生産者は米国視察へ向かう。苦境から抜け出すための糸口を見つけるためだ。 それでも卸値の低迷は続きそうだ。大手が増産の手綱を緩めそうにない。コストを多少犠牲にしても、シェア拡大を目指す。「今年は中小、零細農家の淘汰が本格的に進む年になりそうだ」(大手卸)との声が一段と強まっている。 チタン製品の原料となるスポンジチタン。航空機向け需要の増加で大幅に値上がりしていたが、ここにきて上昇ピッチが鈍っている。日本や米国などの増産で需給緩和感が台頭し、圧倒的な売り手優位が崩れてきた。 スポンジチタンは、大阪チタニウムテクノロジーズと東邦チタニウムの国内勢が合わせて世界の3割を生産する。外貨預金の2008年の輸出価格は前年比10%の上げでおおむね決着。4年連続の上昇だが、毎年20―30%上がった過去3年と比べ上げ幅が縮んだ。 チタンは鉄より4割軽く強度は2倍。燃料を節約できるため航空機への採用が急速に進んでいる。中国やインドなど新興国の旅客増で航空機生産が増えたこともあり需要が急増し、価格高騰につながった。引き続き需要が強いなか価格に天井感が出たのは、供給が大幅に増えるからだ。 大阪チタニウムは09年、年産能力を従来より1万4000トン増やして3万8000トンにする。東邦チタニウムも同年、1万3000トン増の2万8000トンに引き上げる。米国の大手も生産設備を増強中。後発の中国メーカー各社も増産しているもようだ。 小幅な値上がりにとどまったものの、国内2社は為替。「もっと上げたかった」との声はない。高値により、調理器具やバイク部品など汎用品でチタン離れが進むことを懸念していたのだ。 「価格は09年に下がり始める」(業界関係者)との声もある。チタンの資源量は地下に埋蔵されている金属としては4番目。耐食性や耐熱性など機能面も申し分ない。本格的に値下がりすれば、身の回りでチタン製品を目にすることが増えそうだ。 年末商戦の目玉商品となっている液晶テレビ。家電量販店の売り場ではいくつも並んだ大画面映像が人目をひき付ける。大型化による迫力映像への驚きが消費者の購買意欲を刺激して、市場が拡大してきた。ただ、最近は32型に人気が集中する一方、40型以上の売れ行きが伸び悩んでいる。液晶パネルメーカーがテレビメーカーに販売するパネルの価格も、32型が独歩高の様相を呈している。 32型パネルの大口需要家向け価格は現在、中心値が1枚332ドル。11月より2ドル上昇し、2006年12月以来の水準を回復した。4月以降、上昇基調が続いている。一方、42型は547ドルと前月比横ばい。10月に2ドル高くなったが、その後は上昇が続かない。 パネルメーカーの間では「32型の需要が強まっているのに対し、42型以上は動きが鈍い」(韓国のメーカー)といった声が聞かれる。シャープは従来42型以上のパネルを生産していた三重県亀山第2工場でも32型の生産を始めた。自社製品向けだけでなく、他のテレビメーカーへの外販も拡大している。 量販店の担当者は「住宅事情を考慮して、40型以上は置きづらいと判断する消費者が目立っている」(ヨドバシカメラ)と話す。世界的にも「北米市場のみ46型が人気だが、新興地域なども含めて売れ筋サイズは来年以降も32型」(調査会社のディスプレイサーチ)といった見方が有力だ。 新興地域の需要は特に低価格志向が強く、コスト競争力のある台湾パネルメーカーの優位性が強まりそうだ。一方、大型のガラス基板から40型や50型以上のパネル生産を想定した大規模な設備投資に動いたシャープや韓国サムスン電子などの大手にとっては「誤算」ともなりそうだ。40型以上のパネル生産に適した大型ガラス基板から32型パネルを生産すると、効率が落ちコスト増となる。テレビの低価格化はさらに続くとみられ、大手各社は今後、事業採算やコスト競争力を維持する上で生産計画の修正なども迫られそうだ。 スポーツウエアなどに使うナイロン繊維の原料カプロラクタム。原油から造る化学品の一種だ。原油の歴史的な高値水準が続き、製造コストは上昇している。しかしメーカーからは「原油高の恩恵も受けている」との声が聞かれる。 カプロラクタムを造る過程では副産物として硫酸アンモニウム(硫安)が発生する。硫安は代表的な化学肥料だ。原油高騰を受けて世界的に代替燃料のバイオエタノール需要が高まり、原料となるトウモロコシなど穀物の生産が拡大。つれて肥料になる硫安も「各国から旺盛な引き合いが来るようになった」(カプロラクタム大手)。 硫安の価格は上昇著しい。アジアでは1トン170ドル、南米では280ドルほどで取引されている。昨年は100ドル程度だった。カプロラクタムの4倍近く発生する硫安はかつては事業のお荷物。各社が硫安の出てこないプロセスを研究していたほどだ。しかし今や「収益への寄与は大きい」(宇部興産)といい、バイオ燃料をきっかけとした穀物ブームにより、状況は一変した。 カプロラクタム自体は、中国でナイロン製タイヤコードの需要が増え、11月の指標価格がアジア市場で過去最高水準となった。それでも増産の動きは少ない。建設資材の高騰もあって現在、12〜15万トン級のカプロラクタム製造工場を造るとしても700億円近くかかり、「投資効率が悪い」(メーカー大手)からだ。ワイシャツなどに使うポリエステルに比べて、ナイロンは市場の伸びが小さく、原料もあまり魅力的な製品として見られていない。結果的に硫安の供給増も見込みにくく、需給逼迫(ひっぱく)は当面続きそうだ。 企業のコスト押し上げ要因になる原油高だが、一方では新たなビジネスチャンスも生み出している。 安値が続いていた2007年産の新米価格が上昇に転じた。特に昨年より安く出回っていた新潟産コシヒカリが、政府の備蓄米の買い入れ拡大を契機に、上昇に向かったことで、胸をなで下ろすコメ関係者も少なくない。 コメ価格センターが12月5日に実施した入札では、新潟産一般コシヒカリの07年産が60キロ1万9609円で全量落札された。落札価格は今シーズン初の上場となった10月17日より2837円(16.9%)高く、前年同期の06年産と比べても732円(3.9%)上昇した。 07年産米の値下がりへの対策として打ち出された11月末の政府の備蓄米買い入れ入札で、新潟産一般コシヒカリ6万2000トンが全量落札され、数量確保を急ぐ卸業者の買いが集まったことを映した。 今シーズン初の上場となった07年産の新潟産一般コシヒカリの入札の落札価格は1万6772円。06年産米の初回入札の1万8854円より2082円(11%)安かった。昨年に売れ残りが発生したため、産地が慎重になり、高い価格設定を避けたわけだが、市場では「新潟ショック」として一気に広がった。 多くの産地・銘柄米は新潟産コシヒカリ価格を上限のメドにして、数百―数千円を引いて値決めしている。 一方、下限のメドとされてきた北海道産きらら397の07年産は初回入札の価格が1万3387円で、06年産の初回入札時より87円(0.65%)上昇した。価格の割に食味がいいため、3―4年前から市場で人気が高まっており値段も上昇傾向にある。 今年は上限が値下がりし、下限が値上がりしたことで、価格帯が例年以上に狭くなった。新潟コシヒカリを指標としてきた産地は狭いレンジ内で、値決めせざるを得なかった。北海道産を始め青森県産など新潟産コシヒカリに比べ割安感を売り物にしていた産地では、お値打ち感を打ち出しにくくなった。